〈逃げ場のないアパート内で繁殖・凶暴化した毒グモが巻き起こす恐怖を描いた、フランス製パニックホラー。 パリ郊外のアパートで暮らすエキゾチックアニマル愛好家の青年カレブは、珍しい種類の毒グモを手に入れる。心配する店員をよそに自信満々でクモを自宅に持ち帰ったカレブは、一時的にスニーカーの空き箱にクモを入れておくことに。スニーカーの転売で日銭を稼ぐカレブは、同じアパートの住人トゥマニにスニーカーを売るが、その直後、トゥマニは原因不明の突然死を遂げる。警察は未知のウイルスが発生していると判断して建物を封鎖し、住民たちは閉じ込められてしまう。一方、カレブのもとから逃げ出した毒グモは驚異的なスピードで繁殖していき、住民たちを襲いはじめる。〉 (『スパイダー/増殖』 : - 映画.com)
〈本作は、毒グモの恐怖に怯える人間たちの姿を描くだけではない。舞台となる円形のアパートメントは、パリ郊外に実在するピカソ・アリーナという公共住宅であり、ヴァニセック監督も同じエリアで育つ。監督自身の経験も踏まえ、移民や低所得者が多く住む郊外(バンリュー)に対する都市部からの差別問題を、外見で判断され忌み嫌われるクモと、出身地だけで判断される郊外出身者との間に類似点を見出し、本作の構想に取り掛かったという。バンリュー(フランス語で「郊外」という意味)を舞台にした映画で、マチュー・カソヴィッツ監督の『憎しみ』(95)は、監督自身も大きく影響を受けたと語っている。 原題の『Vermines』は“害虫”を意味し、監督は本作についてこう語る。「この映画は、現代社会の価値を問うナチュラル・ホラー映画です。作品中の毒グモは、郊外に住む貧しい人々や、何らかの理由で差別されてきた人々を喩えています。自分たちの生活区域から一歩外に出ようとすると、彼らは害虫扱いされます。そして怒りや憎しみが増大していくのです。これは、私の内面を映し出した映画でもあります。私が知る郊外の町を描いたこの作品は、観客の心を捉え、考えるきっかけを与えるでしょう」〉 映画『スパイダー/増殖』公式〉
Aug 29,2025 📽 編集
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『スパイダー/増殖』(2024)を観た。
物語の舞台となるアパートはパリ郊外(バンリュー)に実在する低所得者向けの公共集合住宅。
登場人物も移民や低所得者が多く、嫌われ者の蜘蛛と人種的マイノリティや低所得者層への差別をリンクさせた風刺性溢れるモンパニ映画でした。
個人的にかなり好きな作品だったのですが、観終わったあとピーターさんに対するさまざまな感情で脳がグチャッとした。
ピーターさんが蜘蛛人間であることを社会に秘匿するのは、社会的に差別され出自を隠してきたユダヤ人のシークレットアイデンティティの暗喩というのは古くから指摘されていて、この映画でもまさに蜘蛛=被差別階級という同様の投影がなされている。
作中で警察から不当な扱いを受ける主人公たちと、無害でありながら駆除される蜘蛛…
以前どこかで「スパイダーマンは警察やメディアに嫌われていて、良くしてくれるのは女性と子供とホームレスくらいしかいない」と指摘されているのを見たのですが、それはそのまま移民や低所得者層(つまりピーター・パーカーさん自身の境遇)を取り巻く環境そのものなのだとハッとした
スパイダーマンは社会的弱者を救うヒーローというだけじゃなくて、「迫害者」だからその人たちと連対するんですね
この映画でもマイノリティの連帯と迫害されるもの(=蜘蛛)の怒りが描かれていて、監督の優しい眼差しとメッセージ性が感じられてとても良かったです
ラストシーン美しくてなんか泣いちゃった
汝の親愛なる隣人を汝自身の如く愛せよ、ですね
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