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『Marvel Team-Up』(1972-1985)#128「Sweet temptation!」(「甘い誘惑!」)(『Spider-Man: Kraven's Last Hunt - Deluxe Edition』収録)

『Kraven's Last Hunt』のライターを担当したJ.M.デマティスによるキャプスパvsバーミン回
Last Huntの作中で言及される「スパイダーマンとキャプテン・アメリカが協力してバーミンを倒した」というエピソードがこの話にちなむと知って読みました
デマティスは当時『Captain America』誌のライターを担当しており、バーミンというキャラクターの生みの親でもあるとのこと
『Kraven's Last Hunt』についてのたいへん勉強になるエントリはこちら↓
アメイジング・スパイダーマン:クレイヴンズ・ラストハント|TPB-Man
補足:「クレイヴンズ・ラストハント」当時の『スパイダーマン』|TPB-Man


『Marvel Team-Up』#128のあらすじ:友人であるロジャー・ホックバーグとその恋人のミア・カレラとともに、NYシティ・ストリート・フェスティバルを練り歩くピーターさん。しかしピーターさんはドクター・オクトパスと戦い重傷を負ったブラックキャットを心配し、浮かない表情をしている。一方スティーブ・ロジャースとその恋人のバーニー・ローゼンタールも同じフェスティバルに参加していたが、スティーブは最後に愛した女性であるシャロン・カーターがキャプテン・アメリカと関わりを持ったことで死に至った顛末について思いを馳せていた。挨拶を交わし共にフェスティバルを回っていたピーターとスティーブだったが、そこにバーミンと彼の引き連れた大量の鼠が現れて…
(*ピーターとスティーブは、『Marvel Team-Up』(1972-1985)#106においてビューグル社で初邂逅している。二人は相手を写真家/商業アーティストとしてしか認識しておらず、#128においてもお互いの秘密のアイデンティティを把握していない)

この話単品で十分面白い(というかMTU誌のなかでも抜群に面白い)うえ、扱っているテーマが『Kraven's Last Hunt』とほぼ同じなのでLast Huntの前日譚として読める
バーミンの禍々しいほどの凶悪性と凶暴性、それと対峙することによって自身のなかの暴力性(Last Huntにおける「蜘蛛」)を見つめるキャップと🕷くん、彼らに光をもたらしてくれる愛する女性の存在…
キャップも🕷くんも二重のアイデンティティの苦しみを抱えるなかで、身近な女性(🕷くんはブラックキャットではなくミア、キャップはバーニーではなくS.H.I.E.L.D.のエージェントであるゲイル・ランシター)に一時的な逃避を求め、そんな自分を戒めるちょっと弱い姿が垣間見えるのが面白かったです
男性が身近な女性へに逃避することをきちんと「弱さ」「愚かさ」として描くデマティス先生、やはりマチズモや「男らしさ」への解像度が高いんだと思う
『Kraven's Last Hunt』ではピーターさんの描き方に強い異性愛規範を感じたけど『Soul Of The Hunter』ではそれも薄まってたしそこも良かった…
あとMTU#128はキャップの存在が効いてる。キャップが🕷くんの先輩として道標を示しながらも、キャップ自身の抱える弱さも描かれているのがいい

−−−

(NYシティ・ストリート・フェスティバルでキャップと共にバーミンと戦ったのち、アパートでミアの手当を受けていたピーターさん。ミアは可愛く、賢く、優しい女性であり、ピーターさんはスーパーヴィランの心配をせずに彼女のような女性と穏やかに過ごせることを夢見ずにはいられない。思わずミアの名前を呼び彼女の手を取るピーターさんだったが、その瞬間テレビからバーミンによる襲撃のニュース速報が流れ出す。ピーターさんは早急にミアをアパートから追い出すと、スパイダーマンになりバーミンが目撃された8番街のドスティノズへ向かってスウィングする)
🕷「(あのニュース速報は…まるで神の恩恵みたいだ!自分が一体何をしようとしていたのか、自分でも信じられない!もしまだ僅かばかり時間があればきっとミアを引き寄せていた…そしてどうなっていたことか)」
🕷「(ロジャーとの友情、ブラックキャットへの愛、それらへの裏切りを考えるほど悪い状況だった…もし実行していたらミアはどうしただろう?きっと大声で叫んで風紀犯罪取締班を呼んだに違いない、きっとそうだよ!)」
🕷「(僕は自分が強いストレスに晒されていることをわかってる…緊張と憂鬱…。でも、神様。僕は自分がこんなにも弱い人間だとは知らなかったのです)」

(ニューヨーク市警に包囲された食料品店ダゴスティーノでキャップと共にバーミンと戦う🕷くん)
🕷「聞いてよ、バーミン──。君のその目──その声には──何かがある。僕たちのなかの腐って、卑しく、悪臭を放つすべてを思い出させるものがあるんだ──。男たちが自ら隠している、内なる怪物の全て──。今夜は特に──君のことを必要以上に見ていたくない夜だよ」

(キャップがバーミンをノックアウトし、🕷くんはウェブでバーミンを床に貼り付けて拘束する。戦いが終わったのちも、二人からは苦い感情が消えない)
🛡「大丈夫かい?スパイダーマン」
🕷「大丈夫になるよ──この魅惑的な彼をしっかり縛り付けたらね」
バーミン「腰抜け共!腰抜け共め!俺を解放しろ!お前たち二人とも殺してやる!お前たちを殺してやる!殺してやる!
(バーミンを見下して拳を握りしめるキャップと、動揺するような表情の🕷くん)
🛡「さあ行こう、スパイダーマン。悪魔をここから追い出すんだ」
🕷「もちろんだよ、相棒!さっきも言ったけど──必要以上に彼の顔を見たくないんだ!」

(近くのビルの屋上からダゴスティーノのお店を見下ろすキャップと🕷くん)
🛡「ああ、これは間違いなく忘れられない夜だ」
🕷「僕に言わせれば…忘れたい夜だよ」
🛡「何故だい?バーミンの中に君の中にもある何かを見たからか?」
🛡「恥じることは何もないんだよ、坊や。君自身が言っていただろう──すべての男たちは心の中に怪物を潜ませていると」
🛡「私がこの地で過ごした年月のなかで何かを学んだとしたら、私たちはその怪物を光の中に叫びながら引きずり出さなければならないということだ──もしそれを取り除くことができるのであれば」(*原文「Its that~screaming into the light」。おそらく「scream into the void」(虚空に向かって叫ぶ=「誰も自分の話を聞いてくれない状態」の意味)の掛け言葉)
🕷「僕も…その通りだと思う」
🛡(🕷くんと握手をしながら)「じゃあ失礼するよ──もう行かなくてはいけないんだ。特別な人が僕を待っている──それに今以上に彼女に会いたいと思ったことはないんだ!」
(去っていくキャップを見送りながら)
🕷「うん──」
🕷「僕もあなたの言いたいことがわかるよ、ウィングヘッド」
🕷「あなたの言いたいことは痛いほどよくわかるんだ」
(夕暮れのなかビルの間をスウィングして帰っていく🕷くん。空にブラックキャットの笑顔が思い浮かぶ)
(おわり)
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