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『Kraven's Last Hunt』の自分用メモ

このエントリが勉強になりました
アメイジング・スパイダーマン:クレイヴンズ・ラストハント|TPB-Man
補足:「クレイヴンズ・ラストハント」当時の『スパイダーマン』|TPB-Man

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J.M.デマティスが語る『クレイヴンズ・ラストハント』
当初、J.M.デマティスは新しい連載で、スパイダーマンを自分が創作した新たな敵と戦わせようと考えていた。しかし、マーベル・ユニバース内でのクレイヴンのオフィシャル設定を読み、クレイヴンをヴィランとして登場させることを決めた。クレイヴンについてJ.M.デマティスはこう語る。
「興味を引いたのは、クレイヴンがロシア人であるという設定です。この設定が揺るぎないものなのか、それとも誰かが気まぐれに付け加えたものなのか、いまだにわからない。私はドストエフスキーの小説がとても好きで、人間には、神秘的なほど高潔な部分と、奥底にある卑劣な部分があり、ドストエフスキーはこのふたつの面を行き来する人間を見事な小説にしている。彼が小説で描いたロシア人の魂は、私を含めたすべての人間にとって普遍的なものなんだ。そしてクレイヴンもこのロシア人的魂をもっているんだ。」
「クレイヴンがロシア人だと知って、すぐにセルゲイ・クラヴィノフという人間が理解できた。そして物語をとおして、焦点を当てる部分が変わったんだ。そして私は(スパイダーマンの担当編集者である)ジム・オウズリーに電話をして『新しいヴィランのことは忘れてほしい。これはクレイヴン・ザ・ハンターの物語になる』と伝えた。アーティストにマイク・ゼックが決まると、私はストーリーにバーミンを加えた。バーミンは『キャプテン・アメリカ』のなかで、私とマイク・ゼックでつくり出したキャラクターだ。こうしてついに物語を進める用意が整ったんだ」

ドストエフスキーの小説がヒントとなり、この物語にはクレイヴンが加わった。そしてイギリスの詩人ウィリアム・ブレイクが1794年に発表した「虎」の最初の一節が、物語に息吹を与えた。構想段階では、この詩の一部が今作のタイトルになってた。
虎よ!虎よ!赤く燃えた
夜の森にいる
どんな不死の手 不死の目が
その怖ろしく整った体を創ったのか?

J.M.デマティスは、この詩について以下のように語ってくれた。
「私はドストエフスキーと同じくらいウィリアム・ブレイクの作品を愛している。この作品のタイトルも、初めは『Fearful Symmetry(恐ろしく整った体)』にしていた。実際に文字にして書いたかどうか覚えていないが、編集者のジム・サリクラップと話していたところ、もう少し長くて強い調子にした方がいいという意見をもらい、ジム・サリクラップは『クレイヴンズ・ラストハント』という言葉を当初のタイトルに加えたんだ。そしてしばらくすると、『クレイヴンズ・ラストハント』だけがタイトルとして残った。このタイトルは私も気に入っているんだ」
なぜ当初、タイトルに『恐ろしく整った体』がふさわしいと思ったのかを尋ねた。
「この物語は、ウィリアム・ブレイクの詩と同じように、熱に侵された雰囲気をまとっている。物語のなかでクレイヴンは現実の先にある場所へと進んでいくが、それは自分の内面や宇宙の内側といった、ウィリアム・ブレイクが幻想のなかに見たものと同じような場所だ。私はいつも直感に従って作品をつくっていく。このときも作品にはウィリアム・ブレイクの言葉がふさわしいと直感したんだ。ただ、ストーリーのなかに少し光の要素が必要だと思い、ちょっとだけ詩の内容をアレンジした。あのときの直感が正しい判断をしてくれたと今でも思っているよ」
(『マーベル グラフィックノベル・コレクション(13)アメイジング・スパイダーマン:クレイヴンズ・ラストハント』より引用)


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The Tyger
『Kraven's Last Hunt』には、ウィリアム・ブレイクの《The Tyger》をパロディした詩がたびたび引用される
《The TIiger》は詩集『Songs of Innocence』(『無垢と経験の歌』)に収録された《The Lamb》の姉妹詩。《The Lamb》がイエスを詠んだ詩であるのに対し(*)、《The Tyger》はイエスとは対極にある邪悪で凶暴なものを詠む(*子羊はイエスの象徴であり、よく使われる呼び名。イエスは『ヨハネの福音書』1章29節、36節、『ヨハネの黙示録』全体でも「神の子羊」とも呼ばれている)

TYGER! Tyger! burning bright  (虎よ、虎よ、あかあかと)
In the forests of the night,  (夜の森に燃えさかる)
What immortal hand or eye  (いかなる不滅の手または眼が)
Could frame thy fearful symmetry?  おまえの恐ろしい均整を造り得たか)
(略)
When the stars threw down their spears,  (星ぼしがその槍を投げ捨て)
And water'd heaven with thier tears,  (その涙で天をうるおしたとき)
Did he smile his work to see?  (造り主はおのが所産を見て微笑んだか)
Did he who made the Lamb make thee?  (仔羊を造ったものがおまえを造ったのか)


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Fearful Symmetry
『Kraven's Last Hunt』において、地下は死、闇、暴力、野生、非文明の世界、地上は生、光、愛、非暴力、人間性、文明の世界として明確に対称的に描かれる
当初の案であった『Fearful Symmetry(恐ろしく整った体/恐るべき対称性)』というタイトルはそこにも掛かっていたのでは?
終幕『ascending(遡上)』で🕷くんはバーミンをつれて地上の(非暴力)世界へ「遡上」し、トラックに撥ねられそうになるバーミンを助け、「バーミン、お前に必要な人を呼ぼうと思う。リード・リチャーズという男だ。彼なら君を助けることができる」と語る
野生の世界と文明の世界を対称化(対立化)させるだけではなく、地上世界のものと地下世界のものが手を取り合えることを示して物語は終わる
🕷くんは愛と光のある地上世界に帰還し、クレイヴンは蜘蛛と鼠の暴力を飲み込んで、地下世界で眠りにつく
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