note

『教皇選挙』(2024)を観ながら考えていたこと(ネタバレあり)

ローレンス首席枢機卿の語る「神への確信と疑念の狭間にこそ信仰は存在し得る。イエスでさえも最期は神を疑った」というスピーチについて。ここで言及されているのは『マタイの福音書』 27章46節で十字架刑を受け苦しむイエスが「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」と叫んだくだり
刑場のそばを通りかかった人々は、大げさな身ぶりをしながら、口ぎたなくイエスをののしりました。(略)
「おまえは神に頼っているのだろう。神のお気に入りなら、せいぜい助けていただくがいい。自分を神の子だと言っていたのだから」(略)
三時ごろ、イエスは大声で、「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」と叫ばれました。それは、「わが神、わが神。どうしてわたしをお見捨てになったのですか」という意味です。
(『マタイの福音書』 27章)

イエスは父なる神に見捨てられたという絶望を抱いて死んだのか?そう読み解くことのできるイエスのこの言葉は昔からキリスト教信仰者を悩ませる一節でもあったらしいのですが、この映画ではむしろ理不尽な深い苦しみのなかで神を「確信」しないこと、不条理の絶望の中で、神への確信と疑念の狭間で祈ることこそが「信仰」なのだと明言しているのが個人的に好きでした
そしてこの「確信と疑念」というキーワードと現代世界における「分断(差別)と包括」をリンクさせた力強いメッセージが物凄く好き
トマス・ローレンス枢機卿が使徒トマス(「疑い深いトマス」)からきているというのも良かった
傑作映画だったな…予備知識なしで行ったのでレイフ・ファインズとスタンリー・トゥッチの共演が映画館で観られたのも予想外の僥倖でした

トマスはイエスに言った、「主よ、どこへおいでになるのか、わたしたちにはわかりません。どうしてその道がわかるでしょう」
イエスは彼に言われた、「わたしは道であり、真理であり、命である。だれでもわたしによらないでは、父のみもとに行くことはできない。もしあなたがたがわたしを知っていたならば、わたしの父をも知ったであろう。しかし、今は父を知っており、またすでに父を見たのである」
(『ヨハネによる福音書』14章)

« close

📽

Powered by てがろぐ Ver 4.7.0.